性感染症以外の疾患

糖尿病性亀頭包皮炎

亀頭包皮炎(きとうほうひえん)とは、亀頭部と包皮間の炎症であり、カンジダまたは細菌による感染が原因となり発症します。
糖尿病性亀頭包皮炎は、包皮輪の『亀裂』が縦に生じるのが特徴です。包皮輪の弾力性が低下し、無理にむくと容易に亀裂が生じます。
赤く腫れあがり、痛みや痒みを生じ、炎症が強くなると膿や排尿痛を伴うこともあります。
ほとんどが包茎の患者におこりやすいですが、近年では若い男性に増加傾向があります。
糖尿病を放置することで免疫機能が低下し、感染症がおこりやすくなるので、血糖コントロールと発症予防が必要となります。
当院では原因菌となる細菌や真菌の培養検査、塗り薬の処方が可能です。糖尿病の血糖コントロールに関しましては他院へのご紹介となります。

糖尿病性陰茎壊疽

壊疽の主な原因は、糖尿病による神経障害、血行障害、免疫力の低下からといわれています。
下肢などの荷重部に発症しやすいですが、稀に陰茎にも発症します。
血行障害により壊死を起こし、傷が化膿しやすく壊疽に陥りやすいです。
激しい痛みを感じ、広い範囲に潰瘍が発症し、黒色化するのが特徴です。
壊疽は症状の進行が早いため、早期の治療が必要となります。

非特異的亀頭包皮炎

一般細菌による、病原菌が特定されない感染症亀頭包皮炎の総称です。
包茎の場合、包皮と亀頭部間に尿や恥垢が蓄積しやすく、包皮内の不潔状態が続くと亀頭包皮炎をおこしやすくなります。
痛みや痒み、発赤がみられるのが特徴です。
感染がひどい場合、黄色い膿のような分泌物が尿道口からでてきます。
淋菌感染症と誤診する可能性があるため、原因菌の検査が当院で可能です。

毛嚢炎

原因となる細菌は、黄色ブドウ球菌や表皮ブドウ球菌です。
ムダ毛剃りや掻きむしりで傷ついた毛穴から感染し、炎症を起こします。
また、皮膚が汗などで湿った状態が続いたり、毛を抜く癖がある場合やステロイド薬の長期間使用も毛嚢炎の誘因とされます。
毛包に一致した赤い丘疹(ブツブツ)や、膿疱と呼ばれる膿を持った丘疹があり、一つから複数できることもあります。自覚症状がなく、痛みやかゆみはほとんどありません。
少数の場合は自然に治ることが多いため、特に治療の必要はありません。
痛みがあるときや数が多い場合には、抗生剤の内服や外用を行います。
ヘルペス、梅毒、HIVなど陰部や全身に発疹を形成する性感染症と区別がつきづらい場合は、当院で検査をすることができます。

帯状疱疹

帯状疱疹とは、水痘・帯状疱疹ウイルスによって引き起こされる感染症です。
幼少期に罹った水痘の原因ウイルスが、加齢やストレス、過労などで免疫力が弱まり、潜伏していたウイルスが再活性化して発症します。
見た目や症状が性器ヘルペスと似ていますが、帯状疱疹は身体の左右どちらかに赤い発疹が出現し、水膨れ、強い痛みを伴うのが特徴です。
治療は抗ウイルス薬投与、また十分な睡眠と栄養をとり、心の安静が重要となります。

尿道カルンクル

女性の尿道にできる、小豆大くらいのピンク色~赤色の良性腫瘍のことです。
腫瘍が小さいものは症状が表れないこともありますが、外尿道口に腫瘍ができるため、尿道をふさぎ、排尿時の尿道出血や血尿が症状として多く、頻尿、排尿時通といった症状がみられます。
原因は不明でありますが、更年期以降に発生しやすいことから慢性的な炎症が原因と考えられています。
良性の腫瘍の為、基本的には軟膏で経過観察します。

被角血管腫

被角血管腫とは、表面に過剰な角化を伴う血管腫の総称です。
原因は加齢による皮膚の変化で、皮膚の老化現象のひとつになります。
そのため若年層より高齢者に多くみられます。
無症状のことが多く、問題がなければ経過観察となります。

粉瘤

粉瘤とは、皮膚の下に袋状の構造物ができ、角質と皮脂が蓄積した状態をいいます。
次第にしこりが大きくなっていき、中心部に小さな黒い穴ができるのも特徴です。強く圧迫して中身を出すと、臭くて粘り気のある膿のような物質が排出されます。
治療は外科的に除去し、炎症を起こしていない場合は、外来手術で除去します。傷ができにくい、へそ抜き法の手術療法もあります。

血腫

血腫とは血液が袋状に貯留し、こぶのように腫れ上がった状態をいいます。
小さな血腫であれば、体内に吸収される可能性もありますが、出血が続いて放置すると血腫が大きくなり痛みを伴いますので、早期の処置が必要となります。
外相を受けやすい部位に好発しますが、外陰部にも出現することがあります。
はっきりとした原因がわからないことが多く、スポーツによる軽い打撲やきつい下着による慢性的な痛みなどが要因と考えられています。
治療は表面を切開し凝血塊を取り除き、出血が続く場合は止血します。

子宮頚管ポリープ

子宮頸管ポリープは、子宮頚管の粘膜にあるイボ状の組織が少し大きくなって、膣部へ垂れ下がるのが特徴的です。
ポリープの大きさは2~3ミリ程度から、時に1センチ以上にもなります。
子宮内膜に近い組織に覆われており傷つきやすいため、性交時の接触などで出血しやすくなります。
自覚症状があまりなく、婦人科検診などの際に見つかることが多いです。
多くは良性腫瘍ですので、経過観察でよいのですが、自然治癒はしないため性交時出血などが続く場合は切除が望ましいです。当院でポリープが見つかった場合は、専門の医療機関へのご紹介をさせていただきます。

ベーチェット病

性器の周辺に痛みのある潰瘍が生じ、ときに高熱がみられます。
外陰部潰瘍のほか、口腔粘膜症状、皮膚症状、眼症状の4つの主症状とする慢性の全身性の疾患です。
性器ヘルペスの初感染と間違いやすいですが、ベーチェット病は性器の疼痛が強く、口腔内アフタを併発していることが特徴です。
ヘルペスや梅毒などの性感染症との見極めのための検査が当院で可能です。

固定薬疹

固定薬疹とは、原因となる薬(鎮痛剤や抗生剤などの頓用薬が多い)を内服することで同じ部位に繰り返し発疹が生じる病態のことです。口唇や外陰部など皮膚粘膜移行部に好発します。
若干の灼熱感、痒みが生じ、紅斑の一部に水疱を形成し、破れてびらんを呈し痛みを伴います。色素沈着を残して治癒しますが、繰り返すことでだんだん濃くなっていきます。
風邪薬や痛み止めなど、日々「何気なく使用する」程度の薬が原因となる事も多く、問診でそのようなエピソードがあったかどうかが事で診断に至ります。
ほとんどの薬疹は、原因の薬をやめると治る病気です。
薬疹による水膨れやそれが破れた場合においては、二次感染する可能性がありますので皮膚の保護および感染予防目的に軟膏を処方致します。
陰部に水膨れなどができるとまずは性感染症を疑ってしまい、心配になる方が多くいられますが、「ここ1,2年、性行為を全くしていない」のであれば、性感染症である可能性は低く、この固定薬疹など、別の病気である可能性が出てきます。
その一方で、1回でも危険な行為があった場合は、同じようにできもの(水疱や潰瘍)のできる性感染症(ヘルペスや梅毒など)の検査を念のために受けていただくことをお勧めします。

精索静脈瘤

精索静脈瘤とは、精巣(睾丸)に血液が逆流し、静脈血が停滞・逆流することで、精巣の周りに静脈のこぶができてしまう状態をいいます。
ほとんどが左側に発生し、寝た状態だと腫れはわかりませんが、立った状態だと顕著にわかります。
精巣機能が低下する原因となり、男性不妊症を引き起こす代表的な疾患といわれています。
自覚症状がないことが多いですが、痛みや違和感を感じることがあります。
治療は主に、精巣静脈高位結紮術、腹腔鏡下精巣静脈結紮術、顕微鏡下精巣静脈低位結紮術の方法があります。いずれも精巣静脈を結んで切断することで、血液の逆流・停滞を改善させます。

尿道下裂

男性の尿道の先天的な疾患であり、排尿するための外尿道口が亀頭の先端に開口せず、陰茎の下の途中や陰嚢、会陰部にあります。そのため立って排尿するのが困難になります。
原因はまだ明らかではありませんが、胎児期のホルモン分泌異常の影響や母親の体内環境、また近年では、環境ホルモンの影響なども関係していると考えられています。
治療としては手術的に尿道形成が行われます。無症状の場合でも、将来的に勃起障害や性交困難につながる場合もあるため、幼児期に手術を行うのが望ましいです。
当院で見つかった際には、手術のできる病院をご紹介いたします。

鼠経ヘルニア

主な原因は、加齢に伴い内臓や組織を支えている腹膜や筋肉が衰えることによります。
立った時やお腹に力を入れた時に鼠径部の筋肉層の隙間が広がり、腹膜や腸の一部が飛び出すことで鼠経ヘルニアが起こります。
男性の疾患率が高く、50歳代以上の方に多くみられます。
最初の症状として、柔らかい腫れやしこりを感じます。放置することで、ふくらみも大きくなり、軽い痛みを感じることもあります。
治療にはヘルニアバンドやヘルニアサポーターなどで矯正する方法と手術があります。
手術は鼠経部や筋膜の部分にメッシュのプラグやシートなどの人工補強材を入れ、ふさぐ方法があります。当院で見つかった場合は手術できる病院をご紹介いたします。

子宮脱

子宮が正常の位置より下垂したものを子宮下垂といい、子宮を支えている筋肉が緩み、子宮が腟から脱出するのを子宮脱といいます。
閉経を迎えてから60歳代に起こることが多く、子宮を支えている靭帯が加齢や出産(分娩経験者に多い)で弱くなり、伸びやすくなったことで次第に子宮に下がります。ひどくなると歩行困難・排尿困難を伴い、子宮脱を放置すると帯下増加、出血、化膿することがあります。
治療は、腟の中にペッサリー(リング状の器具)を挿入して子宮や膀胱、直腸が下がってこないように支える方法があります。
重症の場合、緩んだ靭帯を縫い縮め人工物(メッシュ)を入れる手術や、骨盤底筋群や靱帯を支える修復術、腟の中央を閉鎖してしまう膣閉鎖など、いくつか選択肢があります。
専門の医療機関をご紹介いたします。

陰嚢水腫

陰嚢水腫とは、陰嚢の周りに液体が溜まり、陰嚢が膨らんだ状態を言います。
小児の陰嚢水腫とは異なり、成人を含んだ年長の陰嚢水腫は炎症や怪我などが様々な理由が原因となります。
特徴として通常痛みはなく、精巣にペンライトで光を当てると陰嚢の中身が水分であることから、陰嚢全体が赤く透けて光って(透光性)見えますが、その他の疾患では透光性はみられないので区別することができます。
成人の場合、よほど大きくなければ経過観察を行います。注射器で水を抜くこともできますが、現在ではほとんど行われません。

嵌頓包茎

真性包茎で包皮が狭い状態で無理に包皮をめくり、亀頭をだそうとして根本が締め付けられてしまい、循環障害を起こして浮腫を起こし元に戻らなくなった状態です。
浮腫が強くない状態であれば手で包皮をもとの位置に戻すことができますが、浮腫が強ければ、浮腫をおさえてからできるだけ早めの手術を行います。
放置しておくと締め付けられたところから血液が行かなくなり、壊死する可能性もありますので、できるだけ早めの受診が必要です。

陰茎折症(いんけいせっしょう)

陰茎折症とは陰茎が著しく変形したり腫れ上がったりする外傷です。
勃起した陰茎に無理な力がかかると、中の白膜組織が断裂してしまい血管が破壊され、内出血が起こります。その際に「ボキッ」という、破裂音が聞こえることもあり、陰茎が左右のどちらかに曲がったり、直後痛みを伴い、広範囲に赤や紫色に腫れ上がってきます。
20~30歳代の性活動に活発な年齢が、好発年齢と言われています。
早めの治療をしないと後遺症が残る場合もあります。放置しておくと、排尿や性交渉が困難になり勃起不全が残ります。適切な医療機関をご紹介いたします。

急性外陰潰瘍

若い女性に多く性行為とは関係なく生じ、外陰部に強い痛みが現れ多くは発熱を伴います。明らかな原因はわかっておらず、感染症が原因と考えられたこともありましたが、現在では自己免疫疾患ではないかと考えられています。
瘢痕を残して数週間で自然に治りますが、月経時などに再発を繰り返し、慢性化する場合もあります。
口腔内の潰瘍を伴うこともよくあるため、ベーチェット病の部分症状である可能性もあります。
性器ヘルペス症や梅毒などの性感染症でも外陰部に潰瘍ができますが、急性外陰潰瘍では潰瘍が浅いのが特徴です。しかし、視診のみでの診断は好ましくなく、1度でも危険な行為があった場合は、ヘルペスや梅毒の検査を受けられる事をお勧めいたします。

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